◇ロイヤルシルク財団活動の記録◇

インドネシアは赤道直下、東南アジアからオセアニアにかけて東西5,000km、南北3,000kmに広がる世界最大の多島国家です。約1万7千の島々には地域固有の多くの生物が生息し、蛾もまたその例外ではありません。蛾の種の多くがその成長の過程で特色ある繭を作り羽化して成虫となります。しかしインドネシアの人々にとって、蛾の幼虫は農林業の害虫として駆除の対象であっても、その繭から野生のシルク(Wild Silk)を得て収益を得ようという対象ではありませんでした。
1994年、インドネシア共和国ジョグジャカルタ王室では、低所得農業従事者の収入向上と環境保全、及び伝統工芸の育成を目的として、地域固有の未活用資源『野生の蛾の繭:「アタカス」と「クリキュラ」』の活用による地場産業振興育成事業を始めました。 現在インドネシアでは、日本野蚕学会・ワイルドシルク協議会有志の方々の協力を得て、日本の蚕糸技術及び知識の移転により、農林業の「害虫」であった野生の蛾の幼虫は、その繭(抜け殻)が、優良な野生のシルクを生産することから「益虫」としての評価を得るに至りました。
また、野蚕開発事業は、美しい本来のジャワの森復活に向けて植樹活動を続けながら自然環境との共生による持続的な社会の構築に向けての活動を進めています。


野蚕開発事業の発足経緯

ジョグジャカルタ王室はジャワの伝統文化を保護育成する責を担っています。ジャワ島には多くの伝統文化が今も継承され、特にバティック(ジャワ更紗)やイカット等は世界的にも高い評価を得ています。ところが現在、その原材料であるシルクの大半は中国等からの輸入品です。
事業初期の段階では原材料を自国で生産することを目的に、通常のシルク(家蚕)の振興を試みました。しかし、家蚕は世界市場において中国などと低価格競争を行うことが求められ、その為には機械化を前提にしたかなりの投資計画を検討しなければなりません。 経済危機の中、農民に出来るだけ初期投資や継続資金等の負担を掛けずに行える事業として、 スルタンと王妃は野蚕の開発に可能性を見出しました。


 
ロイヤル シルク 財団

主 宰:グスティー・パンバユン王女
代 表:フィトリアーニ・黒田

 
ジョグジャカルタ ロイヤル シルク 社

会 長:カンジェング・ラトゥー・ヘイマス王妃
社 長:グスティー・パンバユン王女
社 長:フィトリアーニ・黒田 (日本法人)



インドネシア野蚕開発事業の活動の記録


天然の黄金色"クリキュラ"

・1994年  第2回国際野蚕学会議(長野県穂高)に参加
野生の蛾の繭がシルクとして活用出来ることを知る
・1995年  インドネシア野蚕開発事業の発足 
国際野蚕学会の赤井会長にご協力頂き
古都ジョグジャカルタで野生の蛾の繭を採取、開発野蚕の特定を行なう。
"アタカス"と"クリキュラ"の開発が始まる
ジョグジャカルタ ロイヤル シルク社 設立 (PT.YARSILK)
・1996年  野蚕の精錬と手紡ぎの技術移転 紡ぎ訓練が始まる
西城正子先生より野生の繭から手紡ぎによる糸作りの指導を受ける
・1999年  NHK地球に乾杯「熱帯の夢"黄金の繭"」取材・報道
インドネシアの野蚕開発事業が取材を受け日本全国に報道される。
各方面から問合せがあり、多くの支援者に恵まれる契機となる。
・1999年  繊維学会第5回国際会議(京都)特別講演と展示
王妃と王女が来日、同時に開催された日本野蚕学会の会議にも参加され
直接野蚕開発事業の重要性と可能性を講演
・2001年  北九州博覧祭「インドネシア"黄金の繭"」展開催
北九州市職員有志の方々が主体となり博覧際での展示と紡ぎの実演を実施
広く、一般の方々に野蚕開発事業とその製品をご覧頂く機会を得る
・2002年  第4回国際野蚕学会議をジョグジャカルタで開催
4年毎に開催される国際野蚕学会のホスト役を担う。
新しい野蚕の開発を実証した功績から王女が国際野蚕学会副会長に就任
・2003年  東京農業大学昆虫機能開発研究室との共同開発事業発足
繭の構造の解析から、紫外線からの防御機能、温度湿度の調整機能を把握
・2004年  ジャワ鎮守の森植樹村落支援事業発足
野蚕の生息できる環境整備のため、植樹を行ない地域住民と育て守り育て生活する森作りを始める。12月始めての植樹が実施される。
(植樹支援活動に関する報道 PDFファイル 260KB)
再移住者と地域内貧困層に植樹支援の仕事や、そこから生まれる果実や繭からの収入を得られる仕組みを確立
・2005年  ロイヤル シルク 財団設立 (YAYASAN ROYAL SILK)
植樹事業をはじめ地域住民支援等、社会貢献活動の推進を目的に財団を設立する。(認可年月日:2006年2月27日)
・2005年  愛知万博「中部千年共生村」館外壁に黄金の繭シート採用
千年持続する社会の提案館の外壁に、環境と産業との両立を実現しつつある事業としてクリキュラの繭シートが採用される。
再移住者及び地域内貧困層は繭シートの製作や同時期に始まった日本の製紙会社との繭を漉きこんだ紙作りのため繭のカット作業により収入を得る
(愛知万博中日新聞 PDFファイル 80KB)
(愛知万博岐阜新聞 PDFファイル 80KB)
(愛知万博中日新聞 PDFファイル 100KB)
・2005年  京都府・ジョグジャカルタ特別州姉妹提携20周年事業
相互理解から交流、そして相互の発展に向けて職人間の共同作業が実を結ぶ
(京都新聞 PDFファイル 80KB)
・2006年 インドネシア野蚕学会設立
・2006年 5月27日 ジャワ地震による被災 野蚕開発事業復興事業の開始
・2006年 8月 震災復興支援 地場産業復興展示会を開催
・2007年 「てこらぼ」事業の発足 (両国職人 手仕事のコラボレーション)
・2007年 インドネシア共和国大統領 に 「てこらぼ」事業を紹介 
(ジャカルタ新聞 PDFファイル 120KB)
・2007年 王女の社会福祉活動に対し、民間知識人による最も権威ある社会福祉賞が
授与される
・2007年 植樹支援渡航が実施される
・2007年 ジョグジャカルタ特別州、環境緑化に関し最も寄与し成功している州として
評価される
環境緑化報道
・ 2008年 1月19日 WEB上からの植樹支援による、第一回目の記念植樹式典を実施
(植樹パンフレット1 PDFファイル 6.26MB)
(植樹パンフレット2 PDFファイル 54.5MB)
・ 2008年 3月19日 王女名古屋大学での蚕糸国際会議での講演のため来日
名古屋高島屋にて「ジョグジャカルタ王室染織展」を開催
中部国際空港からのガルーダ航空再就航に合わせ、中部圏との連携強化の為、
名古屋商工会議所と会議。今後の交流促進で一致する
・ 2008年 4月23日 ジャカルタ国際手工芸展にて「てこらぼⅡ」を大統領に紹介
野生のシルクで紡いだ作品がグランプリ、繭のブースは準グランプリを受賞
大統領より両国の友好を象徴するシンボルとして高く評価を得る
地方都市"京都―ジョグジャカルタ"の連携を
国家間の"日本―インドネシア"へ拡大
・ 2008年 5月26・28日 ジョグジャカルタ特別州知事スルタン・ハメンクブオノ十世
日本インドネシア国交50周年事業のため来日
日航ホテル大阪及び京都文化博物館・京都高島屋にて展示とワークショップを開催
・ 2008年 6月4日 インドネシア植樹支援地において、日本インドネシア両国の大使参加の基、
記念植樹式典を開催、両国の友好と環境への寄与、交流による相互発展を確認
<今後の予定>
・ 2008年7月7日~9日 環境とテーマとした洞爺湖サミット会場に植樹支援地で育つ黄金の繭で紡がれた製品が採用展示されます
・ 2008年7月17日~19日 新宿パークタワー1階「日本インドネシア友好展」>
在日インドネシア共和国大使館主催
・ 2008年8月28日 財団法人 埼玉県国際交流協会 植樹体験と海外協力訪問団を受け入れ
・ 2008年10月5日 日本インドネシア友好ウォーキングの開催(東京)
・ 2008年11月29日~12月1日 日本インドネシア友好ウォーキングの開催(ジョグジャカルタ)





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